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三線と工工四 
琉球の音楽旋法、三線と工工四(くんくんしー) 
 
は開放弦、●は旋法音階構成音、◯は経過音)
 
●沖縄音楽の旋法  ●三線の調弦(ちんだみ) 
 金井本によると沖縄の旋法は、巷間にいわれる「レ(D)・ラ(A)抜きの、単純な音階だけでなく、レ(D)を含む曲が圧倒的に多い。しかし、この場合は単なる経過音であり、主たる旋法構成音ではない。

 「悪魔の音程」は琉球音楽の魅力
 西洋音楽(音階)、とくに宗教曲では固く禁じられた、増4度音程は「悪魔の音程」といわれ、和声/対位法でもある限られた条件下でしか許されない。
 増4度を含む音階は必然的に、長7度の音階となり、作編曲では禁則とされている。
 しかし、この西洋音楽では認められない、増4度/長7度は琉球楽では、古くから使いこなされていて、その明るい悲哀を醸しだす、琉球旋法特有の特性となっている(金井喜久子)。
 三線は文字通り三弦楽器であり、低音の男弦(ヲゥーヂル)、中絃(ナカヂル)、高音の女絃(ミーヂル)があり、調弦の基本は「本調子」のド(C)/ファ(F)/ド(C)、「二揚げ」のC/ソ(G)/Cや、「三下の」C/F/シ(B) 、時にはシはフラット(♭)は少ない。
 三線の調べは謡者の声域に合わせて、調弦はかなり上下する。また、勘所や音声は西洋音階の、半音以下の揺れもあり、西洋音階では表現できない。従って五線譜によるMidiでは、微妙な音の揺れが表現できない。
 弦を押さえる「勘所」には、男弦の開放ポジションCを、「合」と呼び順に乙老、中弦の四上中尺、女弦の工五六七八…と名付けられている。
 下記の工工四譜も勘所名で記されており、音(高)名でなく勘所(指押え位置)であり、極めて異質で特異な譜面(と呼べるか)? ではある。
   
●三線の工工四 
 工工四譜は屋嘉比朝寄(1716-1777)が、中国の三絃譜(音高)にヒントを得て工夫したが、単に三線の勘所を記号化したもので、その漢数字を並べた譜は記憶用のメモの類に過ぎない。後継の名手らにより改良され、4(1小節)12(4小節)単位に定着、さらには勘所譜横に歌詞が付き、旋律音高工工四付きも出現する。
 しかし、これらの工工四譜は西洋音楽五線譜のレベルに程遠く、工工四を見て直ちに正確くな演奏・歌唱ができる譜面ではない。三線のリズムは四分音符が基本で、要所で
8分音符相当、まれに16分音符相当も出現するが、基本的には2、4拍子の単純さであり、工工四勘所漢数字を覚えれば弾ける。

 三線音部はあくまで唄の伴奏であり、唄の旋律は音声工工四では五線音符のようにメロディを追えず歌えるシロモノではない。したがって現在もなお三線の師匠、研究会等での口伝で唄を聴き覚えるしかない。


   

 
 近年、若い研究者らにより、縦書き工工四を横書きにしたり、さらには、音声部を五線風に音高で記したりと、工夫も重ねられているが、研究者レベルであり教育現場や、まして三線演奏家には受け入れられていない。

(音高工工四と金井採譜を重ねてみた)
 
   
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