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 手元に1冊の楽譜書籍がある。「スコット・ジョプリン●ラグタイム・ピアノ名曲集」。ラグタイム(・ジャズ)の王様であるジョプリンが作曲した、ラグタイム曲の楽譜が22曲収録されている。

 ジョン・ヤング/長瀬隆子が編集し、1987年にリットーミュージックから(第2版、初版は1981年))出版された。今から20年も前に購ったものだ。

 この本にはシートのレコードが付いていて、聴きながら楽譜を読んだものだ。また当時はサックスをやっていて、メロディをサックスの音域に書き換えて演奏もし、DTM(ミュージ郎)にも打ち込んだものだ。

 この夏にちょっと仕事がヒマになったので、改めてDTM(Music Pro)で打ち込み直そうと思った。しかし昨年にモーツアルトの全交響曲(1小節目の冒頭部分)を打ち込んだ時ほどの気力がない。

 そこでKAWAIのスコアメーカーの体験版をダウンロードし、楽譜をスキャナで読み込み、DTMとして認識させた。読み込んだ楽譜をパソコン上で修正が可能で、認識ミスを訂正できたので楽だった。
 
 ラグタイムという音楽は、一般的にはあまり馴染みがないようだが、その昔の映画「スティング」のテーマ曲として、「エンターティナー」が用いられて知られるようになった。

 ラグタイムは一度聴くと、誰しも口ずさんで見たくなるような、親しみやすいメロディーと、ウキウキするようなリズムが楽しい音楽で、やがてジャズにへと進化する前駆時代の形式だ。

 ラグタイムは1895年ごろから、アメリカ南部で黒人達に流行りだし、やがて白人のエンターテインメントとして拡がり、1920年ごろまで流行したが、ニューオーリンズ・ジャズの根幹に組み込まれていった。

 ラグタイムは南北戦争(1861-1865)以前に、アフリカから輸入された黒人奴隷が持ち込んだ、アフリカン・ミュージックが宗教や労働を通じて、ニューオーリンズのヨーロッパ音楽と融合し生まれた音楽だ。

 ラグタイムは左手でマーチのリズムを保ち、右手でアフリカン・フォーク・メロディを、シンコペーションで奏でる、初期のアフロ・アメリカン音楽として、やがて白人間にも影響を及ぼした。
 1965年に終結した南北戦争により、開放された黒人奴隷達は街にあふれ、酒場では黒人のピアノ弾きの奏でるラグタイムに酔い、郊外では広場やプランテーションでの、ケークウォーク・ダンスに興じていた。

 そんな1868年、テキサスの片田舎にスコット・ジョプリンが生まれた。父母は解放前には奴隷としてプランテーションで働き、解放後も苦しい生活を強いられていた。

 プランテーションで余興にヴァイオリンを弾いていた、父親の音楽的な素質を受け継いだスコットは、幼い頃から音楽的な才能を発揮しだし、白人家庭の洗濯女として働く母親は、なけなしの稼ぎでピアノを与えた。

 スコットは次第に音楽的才能を開花させ始め、早くも10才の時から下町のバーで、ピアノを弾いたりコルネットを吹いたり、街のボードビリアンとして活躍し、音楽で金を稼ぎ出し始めめた。

 やがて街を出て各地の都会を巡り、クラシックに触れて音楽理論を学び、西洋音楽に立脚したアフロ・アメリカン音楽を、ラグタイムという形式にまとめ上げて行った。
 
 
 スコット・ジョプリンは西洋音楽を学ぶ課程で、ラグタイムをボードビルのコマーシャル・ラグから、芸術的なクラシック・ラグを確立し始め、1899年に作曲した “Mapleleaf Rag”を出版し、1年間で7万5千部を売る大ヒットを生み出した。  さらにラグタイムを進化させるべく、紆余曲折を重ねながら、1902年に “The Entertainer” で、キング・オフ・ラグタイムを確立した。ラグタイムはやがてピアノ曲からバンド演奏に発展し、ブルーズを取入れジャズに進化していった。
 
 
22曲のラグタイム 動画とバンド演奏 ◆ジョプリン Wikipedia