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『黄金御殿の一階中央に、暗シン御門と呼ばれる秘密の通路がある。黄金御殿にぽっかりと空いた矩形の通路は全く光の差さない不思議な空間だった。
暗シン御門は黄金御殿をクランク状に貫き、正殿横の南風の廊下に出られるようになっていた。つまり誰の目にもつかず密かに表世界に出られるのだ。』…
嗣勇が暗シン御門の使い方を真鶴に教えた。『暗シン御門を通れば御庭を避けて南殿の裏に出られる。暗シン御門に入ったら最初の突き当りに、げらゑの間がある。
そこに寧温の衣装を隠しておく。着替えたら次の突き当りを左に曲がって真っ直ぐ。それで南風の廊下に出られる。』…
意を決して飛び込んだ暗シン御門はその名の通り全く光の差さない空間であった。人工の空間なのに鍾乳洞のように湿度が高い。
屋根裏部屋のような饐えた匂いがあまり人が使っていない通路だと伝えていた。真鶴は暗シン御門を壁伝いに歩いていく。
『本当にここは王宮なのかしら?』 華やかな王宮とは思えない隠秘な通路だ。空気も泥のように淀んでいる。突き当たった最初の壁は石垣だった。
『たぶんこれは空中庭園の基礎だ。』 黄金御殿の二階には空中庭園がある。単なるバルコニーではなく人工地盤に樹木を植えて空中とは思えない空間を生み出している。…
程なく右手に嗣勇が言っていた「げらゑの間」を見つけた。一畳ほどの空間に寧温の衣装と帽子が揃えてあった。… 最後の角を曲がると、暗シン御門に出口の光が差していた。…
(池上永一著「テンペスト」文庫版第3巻270〜281ページから抜粋)
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昭和初期に撮影された鎌倉芳太郎の写真には正殿の南之廊下がない |

説明板図、1階が暗シン御門で左が左掖門 右の明治維新後に駐屯した熊本鎮台図には 暗シン御門が二重クランク状になっている
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御内原側は二階御殿(病室)に面しているようだ |

テンペストの文章を熊本鎮台の配置図に当てはめたみた、紫囲いがげらゑの間か? |
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発掘現場写真(県埋文センター調査報告書)では想像がつかない |

南殿通廊越しに左掖門を望む |

正殿南之廊下の奥に左掖門がある |

南之廊下開口部が左掖門か? |

突き当りは板壁で後ろに石垣? |

左奥の空間は廊下か小部屋か? |

右奥には通路らしきものがない! |
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