鉄道世界遺産「レーティッシュ鉄道」   『アルブラ線』・『ベルニナ線』    全線ストリートビュー

 レーティッシュ鉄道は、スイス東部のグラウビュンデン州を中心に、約400kmの路線網を持つスイス最大級の私鉄である。沿線にサンモリッツやダヴォスなどの世界的なリゾート地を持ち、氷河急行やベルニナ急行といった看板列車を走らせている観光路線であるほか、地域の生活路線としても旅客・貨物輸送共に多数の列車を運行してグラウビュンデン州の鉄道輸送をほぼ一手に担い、州の経済において重要な役割を果たしている。

 同鉄道はグラウビュンデン州の州都クールに本社を置ており、グラウビュンデン州にはスイス連邦鉄道(国鉄)はほとんど路線を持たず、レーティッシュ鉄道がほぼすべての鉄道輸送を担っている。このため、私鉄でありながら、株式の51%をグラウビュンデン州が、43%をスイス連邦が所有し、民間の所有は6%となっており、多くの機関車や電車の前面にはグラウビュンデン州の紋章が設置されている。

 また、同鉄道はスイスアルプスの山岳地帯に路線網を持つにもかかわらず、ループ線やトンネルを多用することでラック式には頼らずに、勾配を本線系統では45パーミル、ベルニナ線やクール - アローザ線でも70パーミルや60パーミルに抑え、すべて通常の粘着式鉄道としているのが特徴であり、結果として長大編成の列車を運行可能としており、現在では主要路線の各駅は約260 - 300mの線路有効長が確保されている。
 レーティッシュ鉄道とスイス、イタリアおよび各沿線自治体ではアルブラ線とベルニナ線とその沿線の景観について、世界遺産登録を目指してGe4/4III形650号機およびABe4/4 51-56形51号機をラントヴァッサー橋をデザインした広告塗装機とするなどの活動を行ってきた。   その結果、2008年の第32回世界遺産委員会で「レーティッシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」として正式に世界遺産リストに登録されている。なお、アルブラ線はトゥーシス〜サン・モリッツ間が遺産区間となっている。
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 アローザ線はクールからプレスール川に沿って登り、本路線開業前からの古いリゾート地であるアローザへ至る山岳路線である。

 アローザ線のクール駅はスイス国鉄・レーティッシュ鉄道のクール駅の駅前広場にあり、駅から約1.5kmは道路併用軌道、もしくは道路脇を走行する。

 ラングヴィース駅の先にラングヴィース橋があるが、この橋は全長287m、高さ62mのコンクリート製で、中央部はスパン92mのアーチ橋となっている。
 終点のアローザはオーバーゼーの湖畔にあり、ハイカー、高地療養者、スキーヤーなどが訪れるリゾート地。