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“Fine and Mellow”
word and music by Billie Holiday, cnporsed 1944 
 
My man don't love me 
Treats me oh so mean 
My man he don't love me 
Treats me awfully 
He's the, lowest man 
That I've ever see 
 あいつは愛してくれない
 わたしを惨めにする
 あいつは愛してくれない
 わたしを足蹴にする
 いままでに出会った
 最低の男よ
   
 He wears high trimmed pants 
Stripes are really yellow 
He wears high trimmed pants 
Stripes are really yellow
 
 いけ好かないズボンには
 黄色いストライプ
 いけすかないズボンには
 黄色いストライプ
   
But when he starts in to love me 
He's so fine and mellow
 
 でもわたしを抱いてくれるときには
 とろけそうに素敵なの
   
Love will make you drink and gamble 
Make you stay out all night long 
Love will make you drink and gamble 
Make you stay out all night long
 
 お酒を飲んでギャンブルをして
 一晩中外で過ごす
 お酒を飲んでギャンブルをして
 一晩中外で過ごす
   
Love will make you do things 
That you know is wrong
 
 一緒になってどんなことでも
 悪いことでもやるわ
   
If you treat me right baby 
I'll stay home everyday 
Just treat me right baby 
I'll stay home everyday
 
 やさしくさえしてくれたら
 いつも家にいるわ
 やさしくさえしてくれたら
 いつだって家にいるわ
   
But you're so mean to me baby 
I know you're gonna drive me away
 
 でもあんたはやさしくない
 わたしと別れたいからよね
   
Love is just like the faucet 
It turns off and on 
Love is just like the faucet 
It turns off and on
 
 愛なんて蛇口と同じ
 開いたり閉じたりよ
 愛なんて蛇口と同じ
 開いたり閉じたりよ
   
Sometimes when you think it's on baby 
It has turned off and gone
 
 開いたと思ったときには
 もう閉じてるんだもの 
(訳詞:壺齋散人)
   
 このスローでブルーな曲は、1939年にビリー・ホリディが作詞作曲した。同じ年には "Strage Fruit"(奇妙な果実)も作り、大ヒットとなった。

 この頃の数年間、ビリーは録音や契約を増やし、成功への道を歩み続ける。そうそうたるミュージシャンたちと仕事をする反面、私生活は彼女が唄う歌と同じくらい荒れていた。
 彼女はトロンボーン奏者であり、麻薬の密売人でもあった、ジミー・モンローと関係を深め、母親と住む家を出て早々に結婚する。彼はビリーにアヘンを教え、次いでコカインを覚えさせた。
 ジミーと結婚はしたものの、ビリーの情事は終わらなかった。彼女はやがてトランペット奏者ジョー・ガイと出会い、ジョーの影響で今度はヘロインに手を出した。
 黒人として初めて立ったメトロポリタン歌劇場での晴れやかな舞台でも、デッカと契約を交わしたときも、彼女はジョーの支配下にあり、ヘロイン漬けだったと言われる。
  ビリーは当時を振り返ってこう語っている。 ―「私はたちまちのうちにあの辺で最も稼ぎのいい奴隷の一人になりました。週に1,000ドルを稼ぎましたが、 私にはバージニアで綿摘みをしている奴隷ほどの自由もありませんでした」。
 やがて、ビリーについて「契約を守らない」、「よく舞台に遅れる」、「歌詞を間違える」といった噂が囁かれ始める。
  同じ頃、彼女はジョー・ガイとよりを戻し、今度はLSDに手を出す。数週間後にビリーは麻薬不法所持で逮捕され、懲役1年の刑に処される。経済的にも追い込まれていき、 彼女の報酬は麻薬と取り巻きの男たちのポケットへと消えていった…。
(Wikipediaより)
   
 ビリーはその後も素晴らしい演奏活動で成功を収めるが、相変わらず麻薬とアルコールに溺れ、その収入はマネージャら取り巻きに搾取される生活をつづけてきた。  1957年にはニューポート・ジャズ・フェスティバルに出演した際、CBSの "Sound of Jazz" に出演した。バックにオールスターを集めた演奏は、”Fine and Mellow" であった。
   
 『私にとってブルースとは悲しみ、寂しさ、ブルースは悲喜こもごも
だれでもそれを感じるはずよ、私は自分の人生の一部を歌っているの…』 
   

sidemens:
Danny Barker(gt)/Milt Hinton(bs)/Mal Waldron(pf)/Osie Johnson(dm)
 ♪intoro
  Billie Holiday -1st Chorus
  Ben Webster -- tenor saxophone
  Lester Young -- tenor saxophone
  Billie Holiday -2nd Chorus
  Vic Dickenson -- trombone
  Gerry Mulligan -- baritone saxophone
  Billie Holiday -3rd Chorus
  Coleman Hawkins -- tenor saxophone
  Roy Eldridge -- trumpet
  Billie Holiday -4th Chorus
  ending

  other Player:
  Doc Cheatham -- trumpet
 ビデオを見るとビリーの柔和で、幸せそうな表情に惹かれる。アドリブソロをするプレイヤーを聴きながら、身体を揺らし楽ししそうな表情を浮かべる。
 とくにレスター・ヤングの時に見せる表情は、かって同棲までしもっともフィーリングの合う、レスターのプレイを久しぶりに聴き、さすがはプレズ(レスターの愛称)よね、そうそう、そのフレーズとウンウンと頷く微笑が印象的だ。
 字幕にもあるようにレスターは、最後の演奏シーンであった。この時レスターはまだ48才、その2年後の1959年3月に亡くなった。葬式の時にビリーは墓前での追悼の唄を、レスターの妻に断られ、その嘆きと悲しみに泣き崩れる。
 葬儀からの帰路でビリーはこう呟いたと伝えられている;「あいつ等、歌わしてくれなかった。この次はあたしの番だわ。」と。ビリーはその4ヵ月後、44才の生涯を閉じた。


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